村上勇介・帯谷知可 編
『秩序の砂塵化を超えて―環太平洋パラダイムの可能性』
(京都大学学術出版会、2017年7月)
格差拡大を背景にした民主主義の動揺が世界的に広がる一方,クリミア併合や「イスラム国」,南シナ海問題など,第二次大戦以降世界が経験しなかった力による版図の変更さえもが進行している。平和と安定を再構築するための新しい途はどこにあるのか? 旧体制や「伝統」を乗り越えようと格闘する,非欧米地域の社会の中に可能性を見る。
- 目次
- 環太平洋研究叢書の刊行にあたって(村上勇介・帯谷知可)
- 序章 新秩序形成に向けた動態的視座の構築をめざして
―環太平洋地域を起点に(村上勇介・帯谷知可) - 第I部 動揺する国家と社会の枠組みの現在
- 第1章 権威主義の進化、民主主義の危機―世界秩序を揺るがす政治的価値観の変容(宇山智彦)
- 第2章 民主主義の揺らぎとその含意―今世紀のラテンアメリカの状況から(村上勇介)
- 第3章 中国の資本主義的発展をどうとらえるか―歴史的「制度」の視点から(梶谷懐)
- 第4章 イスラーム観の違いを克服する
―ポスト社会主義、イスラーム復興、権威主義の交錯するウズベキスタンの課題(帯谷知可)
- 第II部 アクターが作り出す位相
- 第5章 分極化するアメリカ―その背景と課題(大津留(北川)智恵子)
- 第6章 「現象」としての「イスラーム国(IS)」―反国家・脱国家・超国家(末近浩太)
- 第7章 インドネシアにおける暴力をめぐる公私のポリティクス(岡本正明)
- 第8章 現代イスラーム経済の挑戦―ポスト資本主義時代の新たなパラダイムのために(長岡慎介)
- 第9章 UAEのフィリピン人ムスリム女性家事労働者
―ムスリム・アイデンティティのゆらぎと複層化(石井正子)
- 終章 砂塵化を超克する試みの萌芽(村上勇介・帯谷知可)