日時: 2019年3月6-7日
場所: ザ・ウェストレイク・リゾート・ホテル (ジョグジャカルタ・インドネシア)
報告:
Workshop on preparation and submission of Academic Articles
Southeast Asian Studies編集委員会では、2019年3月6~7日にかけジョグジャカルタのThe West Lake Resortに於いて“Workshop of preparation and submission of Academic Articles”を開催した。本セミナーは、ガジャマダ大学の研究者を対象に、国際誌に採用されるための英語論文を執筆する上でどのような点に留意すべきか、具体的な事例を用いながら解説を行うものである。
研究所では、設立当初より東南アジア地域外の研究者によるいわゆる「外からの研究」に偏ることなく、東南アジアの研究者による「内からの研究」に基づく内在的理解も合わせた東南アジアの統合的理解を目指しており、こうした理念のもと研究所の機関紙であるSoutheast Asian Studiesを東南アジア地域の内外の研究者の対話と協働の場とするべく刊行を行ってきた。編集委員会では、対話と協働のさらなる促進に向け、英語を母国語とはしない東南アジア諸国の研究者が、国際誌によりスムーズに研究成果を発表してゆく手助けをできればと今回のセミナーを企画した。編集委員会からはMcCormick, 山本、西、設楽が参加し、12名の参加者を対象に、西によるインドネシア語への通訳を交えながら、英語、インドネシア語、日本語にて進行した。
1日目は、それぞれ“Area Studies approaches and implications for writing articles” “Structure of paper” “Writing the problem statement: Contextualizing data”と題し、地域研究分野の論文の型についての講義を行った。例えば、Audienceが誰なのかを常に心がけること、自身の研究関心の紹介や考えの一方的な吐露にとどまらず、常に自身の考えを幅広い学術コミュニケーションに位置づけ議論を展開すること等プラクティカルなアドバイスを行い、会場からは随時質問がなされた。つづいて、テーブルごとに一つの事例に関するresearch topicをたててみるという演習を行った。
参加者からは、事前に国際誌に投稿予定の英語論文が提出されており、2日目は、参加者一人ひとりにインタビュー形式で、論文に対する編集委員からのフィードバックを行った。他の参加者のインタビューを待つ間、参加者たちにはそれぞれの関心事についてのresearch topicをたてるという課題が課され、午後のセッションではこの課題をもとにディスカッションを行った。セミナーの最後には、効果的なタイトルのつけ方についての講義を行い、各人の論文のタイトルについて委員より具体的な改定案が示された。
これまで編集委員会では、SEASIAやAAS in Asiaなどの国際会議にて「国際誌に掲載されるための論文の書き方」といったラウンドテーブルに参加してきたが、執筆者と直接向き合い個々にフィードバックを行うという今回のようなセミナー開催は初めてであった。参加者の反応はおおむね好評であり、今後も機会があれば同様のセミナーを開催してゆきたいと考えている。なお、今回のセミナーはガジャマダ大学文化学部(Faculty of Cultural Studies, UGM)の全面的な協力を得て可能になった。セミナーの段取りをいただいたDr. Agus Swignyo、Dr. Laksmi Savitri、またMs. DayahをはじめとするUnit Penelitian dan Publikasiのみなさまに深く御礼申し上げます。